ずっと窓の外を見たまんまだったから思わず声をかけた。
「流川?なに見てんの?」
「…とり」


小さな鳥


ここはとある病院の一室。
先日流川が交通事故で怪我をしてこの病院に入院した。
思ったより元気そうで安心したが、これでしばらくはバスケが出来ないだろう。

「…は?」
「だから、鳥…」
言われるがまま見ると、窓の外にはたくさんの鳥がいっせいに飛び出すところだった。
夕焼けとのコントラストが絶妙で言葉で言い表せないほどきれいだった。
「ほんとだ…きれいだな」
流川にもそんな心があるんだなぁ、と悪いとは思いつつ考えていると

「違う、そっちじゃねー」
「え?」
すると流川は地面の方を指差した。
そこには羽をばたつかせる一羽の灰色の小さな鳥がいた。
羽を怪我しているようで血がたくさん出ていた。
…一目見ただけで助からない、ということがわかった。
「鳥見てなに考えてたの?」
流川があまりに真剣に見るもんだから聞いてみた。
「…すごいと思った」
「?」
予想外の答えに一瞬耳を疑う。
「すごい?」
流川はうなずくと、
「アイツ、自分が怪我してもう飛べないってわかってるんだ。もうすぐ死ぬってことも―。
 でも一生懸命飛ぼうとしている…。自分の限界がわかってるのにそれでもやろうとしているから… 
すごいと…思った。」
驚いた。たくさん喋る流川にもだが、普通は「かわいそう」とか考えるだろう。オレもそう思っていた。
でも流川は違う。「すごい」って。オレはそんな考えが出来る流川がすごいと思った。


「…なぁ流川。どうしてあの鳥は飛ぼうとしてるかわかる?」
「わかんねー。」
流川はそう答える。そして、

「…でもオレだったら…たぶんあーしてた。」
「…そっか。」
「!…」
「?…あ。」
ついに鳥は動かなくなってしまった。

「せんどー…」
「うん?」
「埋めるの…手伝って。」
「…うん」
オレは静かにうなずいた。


病院の外へ出た。まだ10月だというのに風が冷たく、薄着のオレ達の体温を奪っていく。
しばらく歩くと…いた。かわいそうに、もう冷たくなってしまったそれを一番近くにあった気の根元に穴を掘って埋めた。
「……」
流川が無言で目をつぶって手を合わせたから、オレも一緒に手を合わせる。

1分くらいたっただろうか。目を開けてみてもまだ流川は手を合わせていた。
オレと同じくらいのその背中がとても小さく思えて。
そして、とても不安そうだったから
「せんどー?」
思わず後ろからぎゅっと抱きしめた。
「どうしたんだ?」
「ううん。少しだけこうさせて…。」
「……。」
なんだか消えてしまいそうで。流川のそんな背中はもう見たくなかった。

きっと流川は自分とあの鳥を重ねていたんだろう。
「もしかして…怖い?」
「!!」
どうやら図星らしい。
「自分もああなったら、って考えてたんだろ。バスケ出来なくなったらって。」

怪我をしてしまって不安だったんだよな。こわかったんだよな。
他のヤツにはわからなくても、オレには…わかるよ、流川。
「……。」
流川は黙り込んでしまった。
でもいつも振りほどかれる腕は今日はそのままだった。オレの気持ちわかってたのかな。



「ねぇ流川…悲しい?」
部屋に帰るときにたずねる。
「…少し」
「そっか」

「あの鳥…」
「え?」
「前から知ってたんだ」
「どういうことなんだ?」
「いっつもあの木にとまって鳴いていたんだ。
 だから…少し悲しかった」
普段感情を表に出さない分、それは痛いほど伝わってきて。

「うん、もういい流川。ゴメン」
「なんで謝るんだ」
「これ以上聞いたらヤバイ。
 流川の気持ちがすごく痛くて…オレには耐えられない。」
「…」
「だから、ゴメン」
「うん…」


飛びたいのに飛べない鳥はどうすればいいのだろう。
飛べなくなってしまった鳥は何をすればいいのだろう。
じゃあ、飛ぶことを止めてしまった鳥は…?




空を見上げるとたくさんの鳥が飛んでいた― 


END





はい、また意味がわかりません。
どうやら意味のわからない話を書くのが好きみたいです、私。
ていうか流川君「…」が多すぎ!(自分が書いたんだってば)
この話はですね、帰り道に鳥がいたんですよ。
なかなか飛べなくてですね、それを見てふと思いつきました。
ていうかなんだろねこれ。とくに最後らへんの3行。
まぁいいや。自己満足なので…(言い訳)



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