少年の気持ちはもう届かないのだろうか―― 



通り雨



「流川ー。」

また。もういい加減にしてくれ。

オレが仙道の家に来るようになって1ヶ月が過ぎようとしている。なぜこんなことになったのかということはもう忘れてしまった。
ただ、仙道といると安心できた。だけど… 
「流川ー?聞いてるのかー。」

…はぁー。この異常なまでのスキンシップはどうにかして欲しい。前はそうでもなかった気がするのだが、最近急に激しくなってきた。
オレが人に触られるのがあまり好きじゃないことを仙道も知っているのに。

…これはオレへの嫌がらせなのか?

「…センドー、テメーそれやめろってこの前も言ったばっかじゃねーか。」
「え?それって?ああ、スキンシップ?いいじゃん、減るもんじゃないし♪」
「…そーゆー問題じゃねー!」
「怒らない、怒らない。ね?」

かれこれこんな会話がずっと続いてる気がする。
なんだかんだで結局許してしまうオレは甘いのだろうか。
だがたしかに仙道に触られるのは他のヤツほど嫌な気はしない。


「あっ、流川!これさ知り合いから借りてきたビデオ。お前見たがってただろ?
 今から見る?」
「…うん。」

オレは仙道んちでこうやってビデオ見たり、雑誌読んだり、時々仙道と話をしたり
といっても仙道が1人でしゃべっているようなものだが。公園に行ってバスケしたり、と過ごしていた。

仙道からはいろんなことを学んだ。
バスケの技術はもちろんのこと(実際は技を盗んだとでも言うのだろうか)
感情とかいろんなこと。
こいつと出会って「楽しい」とか「嬉しい」とか前より素直に感じられる。
それはとてもいいことなんだよ、と仙道が言っていた。

なんにせよ仙道といることは「楽しい」しこのままずっとこうしていくんだと思う。

…思ってた。


ある日オレはいつものように仙道んちに行こうとしていた。すると

♪〜♪〜
オレの携帯の音が鳴った。この音は… 
「センドー?」
「あっ流川?ゴメンっ!今日は急用ができて家にいないんだ。」
「そんなこと言っても、もー着いた。」
「え?ホントごめん。埋め合わせは絶対するからさ。」
「別にいー。…切るぞ。」
「うん。…ごめんね。」
ツーツーツー

少しだけ寂しかった。いつもだったらご飯食べてバスケして仙道がそばにいるのに。

って何をなに考えてるんだ、オレは。アホらし…。
そう思って折角来たんだし、しばらくその辺をブラブラすることにした。
「へーこんなとこにこんな店があったのか。」
いつもは仙道の家の近くの店しか行かないから少し回りが違って見えた。


「…腹減った。」
ちょうど昼飯の時間だったし適当な店でなにか食べようとしたそのとき、

「キャハハー。ヤダー。」

…うるせーな。まったくこういう女はどうも苦手だ。いつものように見ないようにしていた。が、その女の一言に思わず耳を疑った。

「仙道君のエッチ〜。」

なっ!?仙道?

見るとやっぱり仙道で、楽しそうに…笑ってた。
「……。」
オレはその場から動けなかった。
このままだと仙道に見つかってしまうのに体が動かなかった。

なんで?
たしかに仙道はモテる。それは誰もが認めることだ。彼女がいてもおかしくないだろう。
でも、実際に見せられると大きなショックとなってオレに襲いかかってきた。
オレでもあんな笑顔は見たことない。
俺の知らない仙道がいるようで、あれ以上見たくなかった。
誰かと一緒にいる仙道なんてみたくなかった。


「ハハハ…。そう言っていろんな――っ流川!?」
仙道が俺に気付く。ひどく驚いたような顔が残酷的だ。

「なんでお前こんなところに…?」
急に足が動いたからオレはその場から逃げ出した。
仙道がなにか叫んでる気がしたけどそんなことはもう耳に入ってなかった。

ハッ…ハッ…ハッ… 
どのくらい走っただろうか。さすがに仙道も追いついてこれないだろう。
なにより女がいた。そいつを置いてオレなんかを追いかけるはずがない。

…なんでオレは逃げ出したんだ?別に仙道が誰といようが付き合っていようが関係ない。関係…ないんだ。
そうだ。オレは仙道にとってただの「トモダチ」で、バスケの相手にちょうどいいから家に呼んで。

そう思ったら急に胸の辺りが締めつけられるようだった。
…だめだ、これじゃオレ…変になりそう。
オレは携帯を取り出すと
『もう会わない。』
それだけメールに打ち込んで送信した。

これ以上仙道といたら苦しくて苦しくて頭が変になって壊れそうだったから。

なんだろうこの感情。いままでになかった― そうか…オレ…仙道のこと…。



突然の雨が降り出す。おそらく通り雨だろう。
そして、少年の頬をつたう雫がひとすじ。
それが雨なのか少年の涙なのかはもう誰にもわからない。

「仙道……。」
少年の声は「彼」に届くことなく雨音に混じり

消えた。






END




何じゃこりゃ!?ひゃーこんなものまで書いてしまったとは…。これは仙←流でしたね。むずかし〜。
誰じゃこいつ。オトメか?え?つかなにこれ。ありえんね。もう言うことなし。
一応続く予定です。…いつになるかわかんないけど。





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