信号機 「合鍵」仙道バージョン


迂闊だった。
今日は流川が来る日なのである。それをすっかり忘れていた。
忘れていたなどと流川が聞いたらさぞかし怒るだろう。
両手にスーパーのビニール袋を抱えながら言い訳をどうしようかと仙道は考えていた。
早くしないと流川が来てしまうではないか。
「あっ…」
黄色に点滅していた信号が赤へと変わってしまった。
マンションはもうすぐそこである。
早く、早く変われ、と仙道は心の中で唱えた。
「よしっ」
信号が青になった瞬間、仙道は横断歩道を一気に駆け抜けた。
自転車置き場を通り抜け、マンションの自動ドアと通り過ぎる。
そしてエレベーターのスイッチを押した。
幸いにもエレベーターはすぐに来た。
仙道の腕時計は2時をさしている。もう愛しい恋人はついているだろう。
そして、自分はこっぴどく怒られるのだ、遅い、と。
はぁ…と怒った顔を想像して気が一気に滅入る。
しかし、そんな顔も綺麗だと思うのは重症だろうか。
流川は何をするにしても綺麗だ。
普段の姿はいうまでもないが、寝顔などは特別綺麗に見える。
薄く微笑む(本当に稀だが)時などはそれこそ心臓が飛び出そうになる。
それほど流川楓という人物にハマっている自分。
そんな自分を嫌いじゃない。仙道はなんだかおかしくて笑った。
(しかし、エレベーターの中で一人笑っているというのはなんと不気味な絵だろうか)
そうこうしているうちにエレベーターはポーンと到着の合図を告げた。

カチャ
鍵が開いている、ということはもう来ているのだろう。
ご丁寧にも流川の靴は玄関の端へよけられている。
そろり…と廊下を渡り、ドアを開けるとと共に弁解の言葉を述べる。
「流川ゴメン!実は…アレ?」
…が、
流川はソファでくぅくぅと眠っていた。
「…おーい、流川〜?」
ゆっくりと近づき再度呼んでみる。しかし、起きる気配はいっこうにない。
それを確認すると仙道はほっと一息ついた。
怒られるのが少し遠ざかっただけなのだか、それでも安心してしまう。
改めて部屋を見回してみた。
「あ…片付けるのも忘れたのか…」雑誌は落ちてるわ、空き缶はあるわ、服は脱ぎっぱなしだわ…
いわゆる、部屋は「汚い」という状態である。
いつもは流川が来る前に片付けていた仙道であった。
「うーん…だらしないって思われちゃったかな?」
そう思われるのが嫌だったから仙道は片付けていたのだが、
自分を偽るっているのもよくないよな。
と開き直ってしまった。
とりあえず、このビニールを何とかしなければ。
仙道はキッチンへと向かった。
…のだが、
「あれぇ…?」
棚の扉がすべて開いていた。
しばらく呆然と眺めていたのだが
「あ、流川が開けたのか。腹減ってたんだな」
見ると流川の嫌いなシーフードのカップめんしかない。
ということは流川は何も食べていないのだろう。
「うーん…困ったなぁ」
この様子からすると流川は怒って寝たに違いない。
仙道は考えに考えた末、とびきり美味い料理を作って流川の機嫌を直すしかないと考えた。
材料はさっき買ったから十分にある。
「さぁいこーか」
仙道は腕まくりをすると、料理に取り掛かった。

出来上がった頃に流川を起こしてあげよう。
そして謝って、仙道特製スペシャル料理を食べさせてあげるのだ。
きっと喜んでくれるだろう。
その時の流川の顔を思い浮かべ仙道はますます張り切るのであった。


end





web拍手に掲載していた物を移しました。
これはですね、なんとなーく思いついた作品です。
日常生活っていうのが好きなので、日常ってどんなだろうって考えたらやっぱり仙道の家に流川が来るのかなって思いました。
短いけど自己満足です。(本当に短いね…)
まさに自己満足って感じですね(笑)

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