「流川っ」
「ん?」
「どうする?」


誕生日には… 



「どうする…ってなにを」
突然の質問、しかも主語がないときた。
「なにってお前の誕生日に決まってるだろ?」
…きた。いつか来るとは思っていたけど…。
「あの公園で1on1するだろ?それで」
「…んどー」
「ほら、初日の出なんか…」
「せんどー!」
一人でべらべらとしゃべっている仙道にイラつきながら、いったん話を止める。
「な、なんだ…?」
あからさまにびっくりした顔。ふふっ、すっげぇマヌケ。
とても楽しそうに話していた仙道には悪いけど…
「…正月は…毎年家ですごす」
「あ…そう、だよな。流川の誕生日だから、そりゃ家でも祝うよな…」
うっ…この落ちこんだ顔。オレはこれに弱い気がする。
なんかすっげー心が痛むっていうか…悪いことしている気分になる。
…これで何人もの女をだましてきたのだろうか。
「ごめん…」
「あ…流川が謝ることないよ。わかった…オレ公園にいるからさ、来れたら来いよ。」
来ないってわかってるくせに、仙道はそう言う。
顔は笑ってるけど…目はとても寂しそうだった。



『今年も残すところ一時間となってしまいました…』
テレビから、そんな声が流れてきた。
「楓〜。はい、おそば」
「ん…」
母さんがおわんを渡してくれたのにてきとーな返事しか出来なかった。
ずっと…仙道のこと考えてた。
「…あんた、さっきから変よ?あんまりご飯食べてないし…どうしたの?」
母さんが心配そうに聞いてくる。
「オレ…」
「ん、何?言ってごらんなさい」
母さんの優しい言葉にオレはひとつずつ説明した。
「オレの誕生日を祝ってやるって、いっしょに年を越そうって
…アイツが言ってくれたのに、オレ断ったんだ…」
「うん」
「でも、アイツ一人で…オレは母さん達がいるから寂しくないけど…アイツは一人なんだ。
だから…だから…」
「楓」
泣きそうになったオレの肩を母さんはしっかり持って目を見てこう言った。
「楓。あんたのやりたいようにやりなさい。
母さん達のことはいいから…ね?」
「!!…母さん…ごめん。ありがと…」
オレはそう言うと家を飛び出した。
嬉しかった。母さんはわかってくれた。
電車はもうないから、チャリで走った。壊れたっていい。
とにかく今は、仙道に会いたかった。



1度家に行こうとして引き返した。あいつは…仙道は本当に公園で待ってそうな気がしたから。
ガシャン…
チャリが倒れたけど、そんなことはもうどうだってよかった。もうすぐ日付が変わってしまう。
「!!」
いた。ベンチに寂しそうに座って空を見上げているあいつが。
「せんどー!!」
オレは力の限り叫んだ。
「…流川!?」
驚いた様子だったが、仙道はこっちにむかって来る。
なんだか、じわり…と胸の奥からこみ上げてくるものがあって、思わず仙道に抱きついた。
「え?あ?流川…!?」
ひどく動揺していたけど、それでも仙道は優しく抱き返してくれた。
この瞬間がとても好きだ。
仙道の腕の中の空間が心地よくて、ここだけ別世界のような気がする。
だから、仙道に抱きしめられている瞬間が好きだ。
「せんど…」
「…なに?」
「…しろ」
「ん?」
「…キスしろ」
「ええ!?」
またびっくりした顔。それはそうだ。オレ自身驚いている。
「いいからしろ!…めーれいだっ」
顔を真っ赤にしながらオレは言う。
するといつもの優しい顔で、
「はい、仰せの通りに…」
と言って、キスをしてくれた。
初めは触れるだけのキス。
いったん唇を離して目が合うとすっげードキドキしてくる。
徐々に深く、激しく仙道はキスをしてくる。
「んっ…」
オレはじっとそれを受け止めて…
除夜の鐘が鳴り響く中、オレ達は、公園でキスをしながら新年を迎えた。
「…誕生日おめでとう、楓…」
オレの頬を両手で挟み、おでこをくっつけて仙道が祝いの言葉を囁いてくれる。
こんなに近くに顔があってやっぱり恥ずかしかったけど、
「ありがと…」
と返した。

「でも、どうして来てくれたんだ?家は?」
仙道が聞いてくる。
「…仙道が一人だったから」
「え?」
「それに…おめーと過ごしたかった」
「流川…」
仙道はぎゅっとオレを抱きしめてくれて
「すっげぇ嬉しい…」
あの笑顔でそう言ってくれた。
「あ…こんなことならプレゼント持ってくればよかったな…」
少しだけ悔しそうにつぶやく。
「今から取りに…」
「せんどー」
オレはそれをやんわりと止めて
「このままでいー。オレの誕生日なんだから好きにさせろ…」
と言った。
こんな恥ずかしいセリフを吐くなんてオレ、どーにかしてるかも。
でも、誕生日なんだからたまには甘えたっていーよな。


「あ、見ろよ流川」
「…?」
「初日の出だ…」
綺麗だった。
きっと仙道と見てるからこんなに綺麗に見えるんだと思う。
「今年もよろしくな、流川…」
オレはこの日を一生忘れないと思う。
そして、来年も、そのまた来年の正月もこうやって仙道と過ごせたらいいと思った。
…なんだかんだ言って、オレは幸せものかもしれない。


END 



えっと京地さんの9000ヒットのキリリクでした。
リクは「仙道君に甘える流川君or流川君に振り回される仙道君」で、前者の方を選んだのですが…。ぜんぜん甘えてないような気がする。
ていうか、甘えてないし。文おかしいし。
ああ、最近スランプなのか?というかなんだこの終わり方は!?
ってかんじですね。しかも、正月おわったし。1週間前に。

すいません、京地さん。こんなのでよかったら差し上げます。
というか返品可能です。ごめんなさい。

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