初めての海水浴

まだ５月なのに、夏のように暑い土曜日。
湘南海岸には涼を求めてたくさんの人が訪れていた。
ここに来たって暑いもんは暑いし、湘南は決して涼しいところではない。
あちーな、とのんびりと仙道がつぶやく。
去年は冷夏だったよな。その反動で暖冬になるんだっけ？
いったい地球はどうなってんだ？？
流川は黙ってペットボトルのポカリを飲み干した。

二人で海を歩いているのは、今日、陵南で練習試合があったからだった。
結果は陵南が勝ったが、流川がインターハイ、全日本Jrの合宿を経験したことで大きく成長していたことに陵南バスケ部員は（もちろん監督も）驚きを隠せなかった。

流川のほうも、仙道とのマッチアップで相手の裏をかき、今まで以上にペースを乱すことができたこと、仙道の顔から余裕を消したことに満足をしていた。
（が、試合には負けたので不機嫌）

明日は久しぶりで最後のオフだから泊まっていけよと仙道が流川に声をかける。
仙道のほうをまったく見ないままウンと流川がうなずく。

インターハイ予選がまた始まる。
流川はわきあがる闘志で胸をいっぱいにする。

今年は仙道がいる陵南とインターハイに行くことになるのだろうか？

ぼんやりしている流川のほうに仙道が水を飛ばした。
ピッと流川の顔に水がかかる。
あははと仙道が笑った。
いつの間にか靴とスニーカーソックスを脱ぎ、ジャージを膝までまくって海の中に入っている。

それにつられて流川も後を追った。

仕返しとばかりに水をすくって仙道に浴びせかけた。
手だけじゃなく、足を使って波を蹴っ飛ばす。
仙道のジャージに水玉模様が増える。
４本の脚が波間を駆け巡り、漣を作り、粒を作った。
粒はキラキラと反射して２人に降りかかる。

突然大きな波が２人を襲った。
２人はしりもちをつき、ずぶぬれになった。
ショッパイ、と流川が顔をしかめた。
仙道は自分と流川の滑稽な姿に思わず笑ってしまう。
流川も思わず微笑む。

「帰るか、風邪ひく前に」

子どものようにはしゃいだことが２人の心を軽くしていた。

来週からはそれぞれの学校の名前を背負ったエースとしてバスケットに集中する。
そしてお互い避けて通れない相手として戦うときが来る。

でも今は。

２人はただの高校生・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　　終

渉さんのサイト「Ｃｒａｚｙ　４　Ｙｏｕ」で、７１１７ヒットという仙流仙を踏ませていただきました！
すごいでしょー？？なんて私は運がいいんだ！！(笑)
にしてもリクが遅くなってしまってごめんなさい；；

いい！こういう仙流が大好きなんですｖｖ
ああ…最高です…
渉しゃん、本当にありがとうございましたｖ